展覧会

長谷川利行展

2018.09.22(土) - 2018.11.04(日)

長谷川利行展

「リコウ」の愛称でも親しまれている長谷川利行(1891-1940、はせかわ としゆき)は、30歳頃に上京して画家を志すと、1936年に二科展で樗牛賞を受賞するなど、一気に画家としての才能を開花させました。しかし、生来の放浪癖から次第に生活は破綻していきます。1940年に三河島の路上で倒れ、板橋の養老院に収容、同年の内に知友の誰にも看取られることなく49歳の生涯を閉じました。

震災から復興する東京に暮らし、遊園地やプールといったモダンな建築物、カフェの女給や子どもなど市井の人を、素早く力強いタッチで描いた利行。約20年ぶりの大回顧展となる本展では、新発見の大作《白い背景の人物》や、隅田川公園に建設されたプールを題材とした《水泳場》といった、油彩画のほか、水彩画やガラス絵など約140点の作品によって、長谷川利行の全貌に迫ります。

出品目録(PDF/3.3MB)

見どころ

新発見の作品

今回の展覧会準備の段階で新しく発見された《白い背景の人物》をはじめ、2006年に見つかった《水泳場》、2009年に人気テレビ番組に出品されて話題となった《カフェ・パウリスタ》。近年発見された利行の大作を紹介します。

  • 《カフェ・パウリスタ》1928年<br />
東京国立近代美術館蔵
    《カフェ・パウリスタ》1928年
    東京国立近代美術館蔵
  • 《白い背景の人物》1937年<br />
個人蔵
    《白い背景の人物》1937年
    個人蔵
  • 《水泳場》1932年<br />
板橋区立美術館蔵
    《水泳場》1932年
    板橋区立美術館蔵

復興する東京の街

関東大震災で被災した利行は、一時的に郷里の京都へと戻りますが、ふたたび東京に戻ると二科展や1930年協会展で頭角を現します。そこで出品した《汽罐車庫》や《夏の遊園地》といった作品からは、震災から復興して近代化が進む街中と、工業都市としての一面を持つ当時の東京の姿が伝わってきます。また、街を往来する群衆の描き方にも注目してみましょう。《新宿風景》に描かれる群衆は、個々の判別が容易でなく、ただその場の喧噪や空気感を抽出して描き出したかのようです。

  • 《汽罐車庫》1928年<br />
鉄道博物館蔵
    《汽罐車庫》1928年
    鉄道博物館蔵
  • 《夏の遊園地》1928年<br />
個人蔵
    《夏の遊園地》1928年
    個人蔵
  • 《新宿風景》1937年<br />
東京国立近代美術館蔵
    《新宿風景》1937年
    東京国立近代美術館蔵

名も無き肖像

利行は、昭和初期の東京の風景を描いただけでなく、優れた肖像画も多く残しています。《岸田国士像》など、著名人をモデルとした作品もありますが、今でこそ画家として名が残る靉光の若かりし頃を描いた《靉光像》のほか、ハーゲンベック・サーカス団の関係者と思われる《ハーゲンベックの少女》やカフェの女給である《ノアノアの少女》など、東京に暮らす名もなき少女や芸人たちを描き続けました。

  • 《靉光像》1928年<br />
個人蔵
    《靉光像》1928年
    個人蔵
  • 《ハーゲンベックの少女》1937年<br />
個人蔵
    《ハーゲンベックの少女》1937年
    個人蔵
  • 《ノアノアの少女》1937年<br />
愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)
    《ノアノアの少女》1937年
    愛知県美術館蔵(木村定三コレクション)

基本情報

会期
2018.09.22(土)- 2018.11.04(日)
会場
久留米市美術館 本館2階
入館料
個人 団体
一般 1,000円 800円
シニア 700円 500円
大学生 500円 300円
高校生以下 無料 無料
前売り (Pコード768-895/Lコード86684) 600円
*団体料金は15名以上、シニアは65歳以上。
*障害者の方は手帳をご提示いただきますと、ご本人と介護者1名が一般料金の半額となります。
*前売券はチケットぴあ、ローソン各店にて展覧会開始日の約1か月前より販売。
主催
久留米市美術館、西日本新聞社、RKB毎日放送
協力
長谷川利行の会
後援
久留米市教育委員会
企画協力
一般社団法人INDEPENDENT
スペシャルパートナー
株式会社ブリヂストン
オフィシャルパートナー
学校法人久留米大学、株式会社筑邦銀行、株式会社森光商店
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