このたび、久留米市美術館では、筑後地方にゆかりのあるアーティストを紹介する「ちくごist」シリーズの第3回として、久留米出身のアートディレクター・河北秀也(1947− )の追求するデザイン思考にせまる展覧会を開催します。
河北は、デザインはあくまで額縁であり、主役は商品そのものであるという信念のもと、つかう人の気持ちを一番に考えたデザインを常に心がけています。
本展では、少年時代を過ごした久留米・筑後での思い出を出発点として、初期の代表作である地下鉄路線図・地下鉄マナーポスターや、1984年から現在まで40年以上つづくB倍サイズの駅ばりポスター、ボトルデザイン、CM、雑誌広告などのすべてをディレクションするiichiko designの魅力を多角的に掘り下げることから、河北秀也が歩み続ける「デザインの旅」を巡る機会とします。
河北は中学3年生の春休みに、石橋文化センターで募集していた記念スタンプ図案に応募し、佳作入選となりました。またデザイナーを目指して大分県の宇佐に転校した高校2年生の夏休みには、石橋美術館で開催された夏季洋画講習会に参加しています。河北にとって久留米市美術館のある場所は、デザイナーとしての原点の地であったといえます。
河北は、つかう人の気持ちを一番に考えたデザインを常に心がけています。地下鉄路線図は、地方から上京してきた高齢者の方にもわかりやすい路線図が必要との思いから考案されました。また初期の代表作である地下鉄マナーポスターのシリーズは、駅という大勢の人が目にする場所に掲げられた公共広告として、映画スターをモティーフにするなど、大きな話題となりました。
河北は1983年から、姉夫妻の勤める三和酒類からの依頼により、麦焼酎いいちこの広告を手がけます。1984年から始まったB0判の駅ばりポスターは、毎月1枚のペースで掲出され、現在までに500点以上が制作されています。印刷では、イメージに合うように紙やインクの種類を毎回変えるなど、徹底的にこだわり抜いています。STORY2では、iichiko designのはじまりとして、1980年代に制作された初期のポスターをご覧いただきます。
いいちこの駅ばりポスターは、美しい日本の原風景をテーマとしています。しかし、国内では電柱や看板などが目立ってしまうという理由から、そのほとんどは海外で撮影されています。心地よい風景の中に佇むいいちこのボトルは、河北秀也とともに世界中を旅してきました。STORY3では、1990年代に世界のさまざまな場所で撮影されたポスターを展示します。
河北は iichiko design において、麦焼酎そのものの素材の味わいや、酒を酌み交わす相手との時間や空間を大切にデザインしています。表裏のない工芸品のように美しいボトルや、食材でボトルをかたどった雑誌広告など、楽しみの時間に想いを馳せる工夫が随所に凝らされたデザインをご覧いただきます。
1986年から現在まで毎年制作されているいいちこのCM。1987年からはビリー・バンバンによる音楽が使われており、ナレーションは河北自身が担当しています。音楽と映像、そしてナレーションが心地よいハーモニーを生み出すiichiko CMを関連するポスターとともにお楽しみください。
いいちこの駅ばりポスターには、清らかな水が流れる河川や、美しい野花の咲きほこる平野が撮影されたものがあります。撮影地はすべて海外ですが、河川や平野は、筑後川や筑後平野が身近にある私たちや、久留米で生まれ育った河北にとっても親しみの深い光景といえます。いつかどこかで見たような、懐かしくも美しい原風景に想いを馳せてご覧ください。
これまで世界の30ヶ国以上でロケーションが行われているいいちこ駅ばりポスター。なかでも印象的なのは、自然が生み出す一瞬の表情や、スケール感のある風景を捉えたポスターではないでしょうか。STORY7では、私たちの生きる地球での自然の力を感じさせる作品を展示します。
河北は「いいちこは、わたしの人生です」*といいます。デザイナーを志した10代の頃から現在まで60年を越える活動のうち、実に40年以上にわたり一貫したコンセプトで流行に左右されないブランドイメージを積み重ねてきたiichiko design。その道のりは、河北の歩んできたデザインの旅路そのものといえるかも知れません。STORY8では、 これまでの歩みと、明日も続いていく旅の行方を想起させる駅ばりポスターをご覧いただきます。* 『iichiko Design Week 2024 』冊子 (2024) 「わたしといいちこ」より
いいちこの駅ばりポスターは、毎月20日から月末まで、全国500ヶ所以上の駅で掲出されています。エピローグでは、河北秀也のいまを感じることができる最新の駅ばりポスターを会場に展示します。
| 個人 | 団体 | |
|---|---|---|
| 一般 | 800円 | 600円 |
| シニア | 500円 | 300円 |
| 大学生 | 400円 | 200円 |
| 高校生以下無料 | 無料 | 無料 |