久留米市美術館

19世紀末にイギリスで活躍したオーブリー・ビアズリー(1872-1898)。その緻密で妖艶な白と黒の世界をお楽しみいただきます。1893年に創刊された雑誌『ステューディオ』で注目され、小説家オスカー・ワイルド『サロメ』の英語版に添えられた挿絵により評判を不動のものとしたビアズリー。しかし、持病の結核に苦しみ、わずか25歳で早逝しました。画家として活動したのはわずか数年でしたが、彼が残した繊細で大胆な画風による忘れがたい作品の数々は、今なお世界中のグラフィック・アーティストたちにインスピレーションを与え続けています。
今回の展覧会はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の協力により、初期から晩年までの代表的な挿絵など約200点を一堂に展示するものです。
さらに、彩色されたポスターのほか、貴重な直筆の素描から不遇な時代の秘められた作品、家具をはじめとする装飾品、また、ビアズリーともかかわりの深い「サロメ」の同時代イメージなどを紹介し、世紀末の欧米を騒然とさせたビアズリーの魅力と実像に迫ります。
約5年という短い期間に1,000点以上の作品を遺したビアズリー。初期の傑作《「ジークフリート」第2幕》をはじめ、ビアズリーに影響を与えたイタリアルネサンス期の画家アンドレア・マンテーニャの版画、子どものころに愛読したグリーナウェイの絵本などを紹介します。
事務員をしながら独学で描いていたビアズリー。とある出版業者の目に留まりアーサー王物語を題材とした本の挿絵を依頼されたのを機に仕事を辞めて画家となりました。同時期に制作された愛らしい『名言集』の挿絵や、ビアズリーのデビュー当時、彼の指針となったモリスの書籍やバーン=ジョーンズ、ホイッスラーらの作品を展示します。
まだ無名だったビアズリーが表紙を飾った雑誌『ステューディオ』創刊号は人々に衝撃を与えました。のちに、同じ構図の一枚を含むオスカー・ワイルド『サロメ』(英語版) の挿絵により、彼の名声は決定的となりました。21歳のビアズリーは時代の寵児となり、革新的な文芸雑誌『イエロー・ブック』の編集に携わり、その才能を遺憾なく発揮します。
ビアズリーが手がけた『サロメ』の挿絵は、ワイルドの小説の絵解きではなく、ビアズリーの世界観による「サロメ」でした。この章では、ワイルドや、同時代の人々を魅了したサロメのイメージを絵画や舞台など様々な側面から紹介します。
名声に包まれロンドンに瀟洒な自邸も手に入れたビアズリーでしたが、はからずもスキャンダルに巻き込まれます。『イエロー・ブック』の仕事を失い、生活費のために「よからぬ」絵に手を染めることもありました。当時の秘めやかな作品の一部や、自邸の書斎の思い出の品をご覧いただきます。
ビアズリーは晩年まで、自らの表現を追求しました。新たに立ち上げた雑誌『サヴォイ』を発表の場として病魔に苦しみながら制作を続けたのです。後期の作風を示す『髪盗み』『モーパン嬢』などを展示します。
※所蔵標記のないものはすべて、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Photo: Victoria and Albert Museum, London
個人 | 団体 | |
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一般 | 1,500円 | 1,300円 |
シニア | 1,200円 | 1,000円 |
大学生 | 700円 | 500円 |
高校生以下 | 無料 | 無料 |
前売り (Pコード687-192/Lコード86710) | 1,200円 |