展覧会

異端の奇才 ビアズリー展

2025.05.24(土)-2025.08.31(日)

異端の奇才 ビアズリー展

1898年に25歳で早逝したオーブリー・ビアズリー(Aubrey Beardsley 1872-1898) は、蝋燭の光をたよりに、精妙な線と大胆な白黒の色面からなる、洗練された作品を描きつづけました。代表作は、1893年より刊行されたイギリスの雑誌「ステューディオ」に掲載された《サロメ》など。この雑誌は、夏目漱石が購入するなど早々に日本にも知られ、間接的に、青木繁らが明治期にヨーロッパ文化を吸収する際の典拠の一つとなりました。

本展覧会はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の協力により、出世作であるトマス・マロリー著『アーサー王の死』(1893-94) や、よく知られるワイルド著の『サロメ』(1894)、後期の傑作ゴーティエ著『モーパン嬢』(1897) をはじめとする初期から晩年までの挿絵や、希少な直筆の素描を展示します。さらに、彩色されたポスターや同時代の装飾などの約200点を通じて、19世紀末の欧米を騒然とさせたビアズリーの歩みをたどります。

見どころ

1. THE BEGINNING—はじまり

約5年という短い期間に1,000点以上の作品を遺したビアズリー。初期の傑作《「ジークフリート」第2幕》をはじめ、ビアズリーに影響を与えたイタリアルネサンス期の画家アンドレア・マンテーニャの版画、子どものころに愛読したグリーナウェイの絵本などを紹介します。

  • フレデリック・エヴァンズ《オーブリー・ビアズリーの肖像――横顔》1894年頃
    フレデリック・エヴァンズ《オーブリー・ビアズリーの肖像――横顔》1894年頃
  • オーブリー・ビアズリー《「ジークフリート」第2幕》1892年<br />
    オーブリー・ビアズリー《「ジークフリート」第2幕》1892年

2. EARLY BEARDLEY—初期ビアズリー

事務員をしながら独学で描いていたビアズリー。とある出版業者の目に留まりアーサー王物語を題材とした本の挿絵を依頼されたのを機に仕事を辞めて画家となりました。同時期に制作された愛らしい『名言集』の挿絵や、ビアズリーのデビュー当時、彼の指針となったモリスの書籍やバーン=ジョーンズ、ホイッスラーらの作品を展示します。

  • オーブリー・ビアズリー《アーサー王は、唸る怪獣に出会う》1893年
    オーブリー・ビアズリー《アーサー王は、唸る怪獣に出会う》1893年

3. SUCCESS: THE ‘BEARDSLEY PERIOD’ DAWNS—成功—「ビアズリーの時代」の到来

まだ無名だったビアズリーが表紙を飾った雑誌『ステューディオ』創刊号は人々に衝撃を与えました。のちに、同じ構図の一枚を含むオスカー・ワイルド『サロメ』(英語版) の挿絵により、彼の名声は決定的となりました。21歳のビアズリーは時代の寵児となり、革新的な文芸雑誌『イエロー・ブック』の編集に携わり、その才能を遺憾なく発揮します。

  • オーブリー・ビアズリー《孔雀の裳裾》1907年
    オーブリー・ビアズリー《孔雀の裳裾》1907年
  • オーブリー・ビアズリー《サロメの化粧Ⅱ》1907年
    オーブリー・ビアズリー《サロメの化粧Ⅱ》1907年
  • オーブリー・ビアズリー《クライマックス》1893年
    オーブリー・ビアズリー《クライマックス》1893年
  • オーブリー・ビアズリー《「キーノーツ叢書」の宣伝ポスター》1966年
    オーブリー・ビアズリー《「キーノーツ叢書」の宣伝ポスター》1966年
  • オーブリー・ビアズリー《アヴェニュー劇場公演の宣伝ポスター》1894年<br />
    オーブリー・ビアズリー《アヴェニュー劇場公演の宣伝ポスター》1894年

4. OSCAR WILDE’S SALOMÉ—ワイルドの「サロメ」

ビアズリーが手がけた『サロメ』の挿絵は、ワイルドの小説の絵解きではなく、ビアズリーの世界観による「サロメ」でした。この章では、ワイルドや、同時代の人々を魅了したサロメのイメージを絵画や舞台など様々な側面から紹介します。

  • チャールズ・リケッツ《サロメ》1925年<br />
ブラッドフォード地区美術博物館  <br />
Photo: Bradford Museums & Galleries /Bridgeman Images<br />
    チャールズ・リケッツ《サロメ》1925年
    ブラッドフォード地区美術博物館  
    Photo: Bradford Museums & Galleries /Bridgeman Images

5. BEHIND THE SCENES—制作の裏側

名声に包まれロンドンに瀟洒な自邸も手に入れたビアズリーでしたが、はからずもスキャンダルに巻き込まれます。『イエロー・ブック』の仕事を失い、生活費のために「よからぬ」絵に手を染めることもありました。当時の秘めやかな作品の一部や、自邸の書斎の思い出の品をご覧いただきます。

  • オーブリー・ビアズリー《詩人の残骸》1892年
    オーブリー・ビアズリー《詩人の残骸》1892年

6. TOWARDS MATURITY—成熟に向けて

ビアズリーは晩年まで、自らの表現を追求しました。新たに立ち上げた雑誌『サヴォイ』を発表の場として病魔に苦しみながら制作を続けたのです。後期の作風を示す『髪盗み』『モーパン嬢』などを展示します。

  • オーブリー・ビアズリー《愛の鏡》1895年
    オーブリー・ビアズリー《愛の鏡》1895年
  • オーブリー・ビアズリー《猿を連れた婦人》1897年
    オーブリー・ビアズリー《猿を連れた婦人》1897年

※所蔵標記のないものはすべて、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Photo: Victoria and Albert Museum, London

基本情報

会期
2025.05.24(土)-2025.08.31(日)
会場
久留米市美術館 2階
入館料
個人 団体
一般 1,500円 1,300円
シニア 1,200円 1,000円
大学生 700円 500円
高校生以下 無料 無料
前売り (Pコード687-192/Lコード86710) 1,200円
*身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳又は療育手帳等の交付を受けている方とその介護者1名は、無料。
*団体料金は15名以上、シニアは65歳以上。
*前売券はチケットぴあ、ローソン各店にて会期1ヶ月前より販売。
*上記料金にて石橋正二郎記念館もご覧いただけます。
主催
久留米市美術館、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、朝日新聞社、テレQ
特別助成
公益財団法人石橋財団
後援
ブリティッシュ・カウンシル、久留米市教育委員会
協力
日本航空

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